相続が発生した際に直面するのが「相続登記」です。2021年の法改正により、相続登記が義務化されました。これは、所有者不明土地の問題を解消し、不動産取引の透明性を高めるためです。
この記事では、長崎県で遺言・遺産相続・成年後見人などの民事法務や許認可申請等の行政手続を行う本村法務事務所が、相続登記義務化の背景とその重要性、さらには登記を怠った場合に生じるリスクについて解説します。
相続登記が義務化された背景とその重要性
2021年の法改正により相続登記が義務化された経緯とは、日本国内で増加している「所有者不明土地」の問題に対処するためです。国土交通省によると、所有者不明土地は土地面積にして約410万ヘクタールにも上り、その影響は公共事業や災害復興作業にも及んでいます。
相続登記の義務化により、所有者情報の正確な更新を促し、所有者不明土地の問題を解消する狙いがあります。
1:所有者不明土地の増加
相続登記の義務化の背景には、所有者不明土地が増えてしまい、社会問題化したことがあります。
特に、相続登記の名義変更が行われないことが主な原因とされています。
2:公益上の問題
所有者不明土地は、災害時の復興作業の妨げや、不動産の管理放置、税金や公共料金の回収問題を引き起こします。
3:法改正の目的
今回の法改正の狙いは、所有者不明土地の発生予防と利用の円滑化を目指すことにあります。
相続登記を怠った場合のリスク
相続登記を行わないことによって発生するデメリットは、想像以上に大きなものがあります。例えば、第三者への権利主張ができなくなること、不動産の売却が困難になること、数次相続の発生等により相続手続きが煩雑になることなど、多岐にわたります。
第三者への権利主張の困難さ
相続登記を怠ると、不動産に関する第三者とのトラブルが発生した際、法的に権利を主張できなくなります。これは、不動産を売買する場合や遺産分割協議を行う場合にも同様で、結果的に大きな損害を被る可能性があります。
不動産売却の難航問題
所有権移転登記をしていない不動産は、その所有権の証明が難しいため、売却の際に大きな障壁となります。不動産を売却しようとする際、購入希望者は所有権の確定を最も重視します。登記がなされていない不動産の場合、その所有権に疑問を持たれ、売却が難航するでしょう。
相続手続きの難航問題
相続によって不動産を取得したものの、所有権移転登記をしていない場合、その不動産を登記しようとしても、元々の相続人が既に亡くなっていて相談人関係の関係が複雑になっているケースもあります。また、戸籍の収集や遺産分割が難航する等、放置していた分だけ労力も費用も過大になる可能性があります。
まとめ
今回は、長崎県で遺言・遺産相続・成年後見人などの民事法務や許認可申請等の行政手続を行う本村法務事務所が、相続登記義務化の背景とその重要性、登記を怠った場合に生じるリスクについて解説しました。
相続登記の義務化は、所有者不明土地問題の解決と不動産取引の透明性向上を目的としています。相続登記を怠ることで生じるリスクは深刻であり、相続が発生した場合は迅速な対応が求められます。法改正による相続登記の義務化を理解し、適切な手続きを行うことが重要です。
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