賃貸借契約書の作成は、大家さんにとって重要な業務の一つです。特に自主管理されている大家さんの場合、契約書の内容をしっかりと理解し適切に作成することが、円滑な賃貸経営やトラブル防止に繋がります。自分で作成するメリットとデメリットを理解した上で、最適な方法を選択することが大切です。
今回は、長崎で不動産仲介業と兼業している本村法務事務所が、賃貸借契約書を自分で作成する際のステップを、分かりやすく解説します。
賃貸借契約書を自分で作るためのステップガイド
準備段階:必要なものと情報を集める
賃貸借契約書を作成する前にまずは必要な情報を集めます。物件に関する情報(住所、間取り、設備など)、入居者に関する情報(氏名、住所、連絡先など)、契約内容に関する情報(家賃、契約期間、敷金・礼金)などが必要です。これらの情報は契約書に正確に記載する必要がありますので、漏れがないように注意しましょう。
また、国土交通省が公開している「賃貸住宅標準契約書」などのひな型を参考にすると、スムーズに作成を進められます。国土交通省のサイトからダウンロードし、必要に応じて修正・追記を行いましょう。

契約書作成:雛形選びと項目の確認
雛形選びは契約書作成の最初のステップです。国土交通省の「賃貸住宅標準契約書」や、インターネットで公開されているテンプレートなどを活用できます。
雛形を選んだら、各項目の内容を丁寧に確認しましょう。物件情報、設備情報、契約期間、家賃、敷金・礼金、解約条件、違約金、特約事項など、重要な項目がすべて網羅されているかを確認します。不明な点があれば、法律の専門家などに相談することも検討しましょう。
特に、違約金や特約事項については、入居者とのトラブルを避けるためにも、明確に記載することが重要です。
注意点とリスク:契約トラブルを防ぐために
自分で作成する際の注意点として、法律的な知識が不足していると契約内容に不備や誤りが生じ、後々トラブルに発展する可能性があります。特に、契約期間、解約条件、違約金などは、法律に抵触しないよう注意深く作成する必要があります。
また、契約書は3部作成し、大家さん(貸主)、入居者(借主)、連帯保証人それぞれが保管します。署名・捺印を忘れずに行いましょう。さらに、契約書の内容は入居者にも十分に説明し、理解を得ることが重要です。契約書を紛失した場合に備え、コピーやスキャンデータを残しておくことも推奨します。
専門家への相談:どうしても不安な場合の対処法
自分で作成することに不安がある場合は、専門家への相談を検討しましょう。弁護士や行政書士などに相談することで法律的な観点から契約書の内容を確認してもらうことができます。専門家への相談費用はかかりますが、トラブルを未然に防ぐためには有効な手段です。
特に、複雑な条件が含まれる場合や、高額な賃貸物件の場合には、何か起きてからでは遅いので、専門家のアドバイスを受けることを強くおすすめします。
賃貸借契約書 自分で作る際のメリットとデメリット
自分で作るメリット:コスト削減と理解度の向上
自分で作成する最大のメリットはコスト削減です。提携している不動産会社に依頼する場合に比べて、費用を大幅に抑えられます。
また、契約書の内容を自分で作成することで、賃貸借契約に関する理解も深まります。契約違反があっても早くに気づき、タイミングを逃さず対応できたり、大家さんが不利益を被らないように立ち振る舞えるようになります。結果的に大家さんとしての経験を積むことにつながり、今後の賃貸経営においても非常に役立つ知識となります。

自分で作るデメリット:時間とリスク
デメリットとしては、時間と労力がかかることです。契約書の作成には専門的な知識と時間が必要となります。もし不適切な記載があれば、法律的なトラブルに巻き込まれるリスクも存在します。それ以外にも、契約書に明記しておくべきことを記載していなかった場合などは、何か起きた際の責任の所在や対処方法が分からず、話し合いで解決するしかありません。これらのリスクを考慮した上で、契約書を作成するかどうか決める必要があります。
不動産経営に関するご相談は、不動産業を兼業する本村法務事務所へ
今回は、賃貸借契約書を自分で作成する際のステップ、メリットやデメリットについて解説しました。
自分で作成する場合は時間と労力、そしてリスクを十分に理解した上で、慎重に進めることが重要です。国土交通省の賃貸住宅標準契約書などを参考に作成しながら、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることも検討しましょう。
契約書は、大家さんと入居者双方にとって重要な文書です。正確できちんと効力を発揮できる契約書を作成し、円滑な賃貸経営を実現しましょう。
本村法務事務所では不動産業「プラステート株式会社」を併設していますので、賃貸借契約書作成も承っております。その他の不動産に関するご相談もございましたら、私たちがサポートしますのでお気軽にご相談ください。